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【持ち主】ヴァランティーヌ・マリー・シビル・キュヴィエ

【武 器】エルドラーン

「そこの者!貴様その槍の付喪神か?なかなかの業物と見た。

 …ふむ。良いだろう。武には覚えがある!

 私と戦い、貴様を我が軍門に下らせるとしようか!」

 そして、彼女は獣のような笑みを浮かべた。

「随分と勇ましい女人だ。力は示された。
 その強固なる瞳と気高き意思。
 貴女を主人と認めよう。


 (片膝をつき真っ直ぐに相手の瞳を見て)
 我が刃が折れ武運尽きるまで貴女を護り支えることを我が槍エルドラーンに誓います。
 貴女の為、貴女の守るものの為に力尽くしましょう。」

【持ち主】コードNO14495869 白

【武 器】祝福の赤いアネモネ

「…うん、貴方がいいわ。私、貴方に一目惚れしたみたい。

 ねぇ、貴方私の武器にならない?私弱くはないし武器の扱いも良いと思うわ。

 試してもいいわよ?
 え?愛しあおう…?それが貴方の怨念なの?残念ながら愛って分からないの。

 けれど貴方の為なら頑張ってもいいかもね。好きなように来なさい。

 貴方の怨念晴らして、私のものにしてあげる」

「……一目惚れ?ああ、君も愛を重んじるのかい?ふ、ふふ、君を愛するのは最期さ。

 その白い服を赤く染め上げるのは、最期がいい。きっと、きっとどの色よりも美しい。 

 凛々しい面持ちも、……ああ、十二分だ。僕は君を愛する。
 ただ一つ…僕を持つならば他者を殺(あい)する。…これは約束。盟約の印。

 もし、君がこの輪を解き放てたら――僕はその先を知らない。その後はキミシダイだ」

【持ち主】ローレンツ・椎奈・リーフェンシュタール

【武 器】夜鳥派 望月輝夜

手探りで暗闇を抜け、急に開けた目の前に広がる月明かりに視線を向ける。
その煌びやかな中心にひっそりと佇む存在。
こんな場所にこんな綺麗な刀が存在しているなんて…ぽつりつぶやく。
そんなさなか、いつの間にか刀は美しい少女の姿に変わっていた。

思わず息を呑む。

「僕は椎奈。君は…何者なんだろう…?
君の光のおかげでここまで来られたのだけど、こう辺りが暗くちゃ敵わないな。
この暗闇をなんとかしたいのだけど、きっと君の力なら…君と一緒ならば成し得るとなんとなく確信しているんだ。
僕に協力して貰える…だろうか?」

「御機嫌よう」

彼が息を飲んだのが先か。それとも、望月輝夜がそう声をかけたのが先か。
『敵』の姿に、望月輝夜は、自らの刃を振るい易くなるような姿を取る。月光を紡いだような髪を背に払い、望月輝夜は、はて、と首を傾げる。
闇を払えなどと、唐突に不思議なことを言う青年だと思う。
ああ、でも……それは、私が美しすぎるから。
このような場所まで来て、私に魅入られてしまって、
可哀想な人――

などと自己陶酔的なことを考えただなんて、目の前の青年には伝わることはないだろう。それが自己陶酔すぎるということを指摘してくれる存在も、ここにはおらず。

すらり解き放っていた刀身で宙を薙ぎ、鞘に戻し。
望月輝夜は赤い唇をゆるりと笑ませ、こう言った。

「この光を求められるのなら、吝かではありません。
 この私を、貴方を導く光がわりにするのは、
 些か不躾ではないかと思うところですが。
 良いでしょう。」

そう唇を結び、一歩足を進めて――
自分のドレスの裾を踏んで、見事に転倒した。

【持ち主】蓮見 翼

【武 器】奏弓シュールラトゥシュ

「ちょっと君!今のもう一回やってくれない!?
あ、違う違う、敵じゃないから!君の音をもっと聴きたいだけなの。
その、戦慄の旋律?すごいわね。こんなに人の心を揺さぶれるなんて、信じられない。
あんな事とか、こんな事とかも思い出しちゃうし……。あー、こほん。それは置いといて。

ね、一緒に来てくれないかな。
絶望を奏でたあとは、歓喜を歌ってみない?
私、君の音色をもっと知りたいし、できれば一緒に歌いたい。
そうすれば何か、掴めそうな気がするから……!

——あ。あとね、はいこれ。折りたたみ傘。
さっき空が泣いてるって言ってたでしょ?お天気崩れそうだもんね~。
いいのいいの、わかってるから。そういうの弟で慣れてるから!
ふふふ、私の事はおねーちゃんって呼んでもいいよ?」

奏弓シュールラトゥシュは眉を潜めた。まさかアンコールがかかるとは思わなかったからだ。
思うがまま、笑う風に乗せ、戦場を戦慄させるメロディを届けていた矢先の、アンコール。奏弓が正しく奏弓シュールラトゥシュであった頃は、聞いたことがあった、そのワンモア。

「貴女も楽器なのか?」

奏弓シュールラトゥシュは旋律を歌う。
一緒に歌いたいと言う彼女もまた、楽器なのだろうか。
無防備に近づかれて、警戒することを忘れたまま、小さな傘が手渡されたか。傘と、彼女を、きょとんとした表情で何度も見比べて。

「……おねーちゃん?」

と、怪訝そうな表情のまま、言葉にしたとか。

【持ち主】扇崎 龍志郎

【武 器】護神刀 竜仙

寂しい顔はもう終いにしようぜ、姉ちゃん。
オレさ、姉ちゃんの声が聞こえたから迎えに来たんだ。
まだまだガキだし、ここの奴らに比べたら剣術も未熟だけど、将来立派な主人になるって約束する!
だからさ、笑ってくれよ。……な?

「あなたは……私の為に、ここまで来てくださったのですか……?
 私の嘆きの声を……聞きつけて……。
 ……ありがとう、ございます……とても、とても嬉しい、

 あなたに、こうして来てもらえて、私は、とても幸せ。
 あなたの心に、私は救われました。
 私はあなたと共にありましょう。もう……寂しい顔は、終わり。
 あなたとならずっと、笑っていられると信じています」

【持ち主】ポセイドン

【武 器】アナスタシア

「おぉ…なんと言う美しさだ。こんな変わった魚は見た事が無い。

 そこのソナタ!我と共に海を支配せぬか!」

「  ? …  うふふ わたくしは  姫 よ  魚は …  あなた  ふふっ  おもしろい方 …  わたくしは 美しく …  気高い 姫 アナスタシア  あなたは 王 …  海を司る 者  ふふっ  」

徘徊していたそれは君に遭遇すると、矛の先を向けながらその姿に首を傾げるも、君からは悪意を感じられなかったようで軽やかに笑声を溢す
それはこれまでの証言の不気味さとは程遠い、遊び相手を見つけた無垢な少女のようであったとか

【持ち主】律(りつ)

【武 器】雨編風(アミカゼ)

「雨編風、と言ったか?このような美しい太刀を見たのは初めてだ。
私の名は律。今は訳あって用心棒をしている身だが、いつか旅をするつもりでね。
一緒に旅をする相棒を探しているところなんだ。
どうだい、雨編風。私と共に広い世界を見に行かないか?
会ったばかりで可笑しな話だが、なぜだろうね。
お前さんとなら楽しい旅が出来そうな予感がしてならないんだ。

あぁ、つい気が急いてしまっていけないね。
まずはあの付喪神を倒さなければ……雨編風よ、どうかこの私に力を貸してはくれないか?」

「多くの男共の血に汚れ、欲にまみれたわっちを、それでも美しいと、言って下さるのですか…………。

ならば、この出逢いに、感謝を……。

わっちはこれより主様の剣となり盾となり、疲れて休む時には宿り木となり、一涼の風となり、恵みの雨となりてお支えいたしまする。
わっちの名は雨編風(アミカゼ)。ある……律様の一振りとしてどうかお側に置いて下さいませ」

【持ち主】暁 明星(アカツキノメイセイ)

【武 器】葵忌(キイ)

「なんと懊悩に濡れた相貌であることか…。

 そなたの抱え込んだ苦悩を私の元に置いていくと良い。

 そうなってしまったそなたを変えたり、元に戻したりは叶わぬが、

 少しは留飲も下がるであろう。

 かわりと云ってはなんだが少し力を貸しては貰えぬか?

 困った時はお互い様…というのは虫が良すぎるだろうか?」

「い、いの……?私、そんなに、強くない。ただの……鋏。

 取り憑く、取り殺す、しか、取り柄ない。
 それでも……いいの?
 なら、お願い、受け入れて。捨てないで。

 もう一人にしないでぇ……(そう言って顔を伏せて泣き始めた)」

【持ち主】真鶴(まづる)

【武 器】月華派 こい断ち

「こい断ち――私と番になってみぬか?
自惚れるな。そなたの姿に惚れた訳ではない。
孤独な者同士、気が合うかと思ったまでよ――」

「番とはまた酔狂なことを申される。

 某(それがし)はただ一振りの刀、人が使う道具に過ぎぬ。

 その御手にとりて持ち重りせず、試みに振るいて手応えあらば、

 御身はわが主人(あるじ)に相応しき御方。遠慮は無用、存分に役立てられよ」
ぶっきらぼうな物言いに反して、その顔(かんばせ)には柔和な笑みが浮かぶ。
「わが刀身に映るは、さだめられし主人の技量、その心の有り様だという。

 一点の曇りなく澄んだ水面のごとく、陽射しに煌めく漣のごとく、

 美しきものは真鶴殿ご自身の心。その御心の美しさこそがお仕えする某の誇りなのだ」

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【持ち主】伽雅(かが)

【武 器】鴉双

「っとぉ。なんやけったいな所に来てしもた思たら、ここ狐の妖怪さんの里かいな?

 血気盛んな狐さんがおるわ。ん?違う?付喪神?

 ほうかぁ。ようわからんけどどやろ、わしらに力貸してくれんかいな。
 腕の立つやつ少のぅてなぁ、人手不足なんや。

 毎日襲ってくるやつがおるから退屈はせんと思うで?」

そう言って眼を見開き、鴉双を見つめた。

「(ふいに近づいてくる気配に気付き待ち構えていれば呟きが聞こえ)

 …あぁ? だぁれが狐だ、俺は鴉だ阿呆が…っつーか誰だてめぇは。
 あ?白蛇の里の…?伽雅?
 知らねェが、そんなのが俺に何の用d…はぁ?力を貸せ、だァ?

 (思い切り訝しみながらも話を聞き)

 …よく分からんと言いながらよく俺の力を貸せなどと…(ククッと笑い)
 おい!退屈させねぇってのは本当だろーなァ?
 俺を楽しませてくれるんだったら力でもなんでも貸してやる!
 …だが、俺を退屈させるようなら、てめぇの首と胴体は永遠にサヨーナラ☆
 あぁ、色々と楽しみだなァ!
(ニィッと口元を歪ませ隠れて見えない眼を伽雅の方へ向けた)」

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